
初めて絲山さんの作品で心から『これ、いいっ』と素直に
思えた作品だった。
宝くじで3億当たった河野は勤めを辞め、敦賀に引っ越す。
そこでまるで仙人のような、
隠者のような隠遁生活を送る。
その生活の中で出会った「ファンタジー」と呼ばれる人物(?)。
そしてとある島で出会ったかりんという女性。
かりんと恋に落ちる河野だったが、
思春期に受けた心の傷のせいで彼女を抱くことが出来ない。
時は流れ、二人には過酷ともいえる運命が待ち受けていた。
河野の心の傷。
本当に辛すぎる過去の出来事。
好きな女性を抱けない心の葛藤。
そしてかりんの想い。
元同僚で河野のことを愛している片桐の切なさ。
その片桐を心の奥底では愛している澤田の想い。
河野の心の支えになりつつある「ファンタジー」
すべてが切なくて、どうしようもなくて、でもみんな愛しくて。
最後せめて河野には幸せになってもらいたい。
そう思いながら本を閉じた。
個人的には河野と片桐が好きでした。
特に叶わぬ恋を紛らすために色んな男と付き合う片桐の
心の虚しさ、寂しさ、そういったものを出来るだけ見せようとせず
ただ河野のことを想っている姿に本当に胸が一杯になります。
みんなが幸せになれればいいな、と思うわないではいられない作品でした。
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