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Author:す〜さん
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気をつけ、礼   〜重松 清〜

kiwotuke.jpg

重松さんの新作は
教師と生徒の関係を描いた短編集。

教師って完璧ではない。
聖人君子でもないし、神様でもない。
この作品に出てくる教師はどれもいい意味でも悪い意味でも
一人の人間である。
何も言わずに手を差し伸べる教師もいれば
もう少しどうにかならないものか・・・と思う教師もいる。
教師も千差万別。
どの教師に当たるかでその生徒の1年がかかってるといっても過言じゃない。
読んでて苦しくなる場面も。

でも、振り返ったときに
生徒から見るとどれも悪い思い出として残っていない。
もちろん現実ではそういうことばかりではないけれど、
自分の経験を振り返ってみても
生徒のときはすごく嫌いだった先生でも
今思い出すとなぜか許してしまえたりしている。

月日が経つと、いろんな意味で寛容になれるんだな。

重松さんらしく
泣ける作品もある。
腹の立つ作品もある。
でもどれもいい作品である。

娘に語るお父さんの歴史   〜重松 清〜

musume.jpg

1963年生まれのカズアキ(おそらくは重松さん自身)が娘に語る
お父さんの歴史。
戦争の悲惨さを知らず、高度成長期に少年期を過ごし
大きな不幸も大きな幸せもほどほどに経験してきた世代。
そのお父さんの世代にとって
自分たちが生きてきた時代は
どんな時代だったのか?

全編にわたって、このカズアキと同世代に人間には
懐かしいモノがたくさん登場する。
ただ、それを懐かしい、という「思い出」の枠に留まらせず
自分が生きてきた「歴史」として捉えると
また違った感慨が浮かんでくる。

幸せな時代だったか?と聞かれて
未来を信じることが出来たから幸せな時代だった、と
重松さんはカズアキに言わせている。
確かにそうかもしれない。
自分が小さい衣これからどんどん日本は、世界は凄いことになっていく、と
本気で信じていたあの頃は
今から考えると幸せな時代だったのかもしれない。

翻って今はどうか?
未来を信じることが出来るのか!?
子どもに未来は明るいぞということが出来るのか?
子どもの瞳が曇ってしまわないように
まだ、頑張れるうちにがんばっていかないとなぁ〜、などと思った。



なぎさの媚薬5 霧の中のエリカ   〜重松 清〜

nagisa5.jpg

渋谷の娼婦、なぎさと今夜出会うのは
幼なじみを殺された邦彦。

邦彦の幼なじみのエリカはある時を境に非行に走る。
髪を金色に染め、高校も中退し、
夜毎男と遊びまわっている。
毎晩、男に送られて帰ってくるその家の前で
男とのセックスにおぼれる。
邦彦はそれを毎晩自分の部屋から盗み見ていた。

エリカはその男と結婚するが、
数ヵ月後、その男と仲間たちに殺されガソリンをかけられ
焼かれてしまう。

その事件後、学校に行けなくなった邦彦は渋谷の街で
娼婦なぎさと出会う。
なぎさと出会った邦彦はエリカを救うために過去へ戻っていく。
邦彦はエリカを救うことが出来るのか。

これまでのシリーズの中で一番辛く切なく、そして怖い作品でした。
同じような事件が過去にもあった。
たとえば、コンクリート詰め殺人事件とか。

読み進めるのも辛くなるような
描写が多くて
だからといって目を背けることはできない作品だった。

性犯罪を扱っているので嫌悪感を持つ人もいるかもしれない。
でも、面白おかしく描いているんじゃなくて
事件のルポも手がけている重松さんだからこそ書ける作品じゃないか、と思う。



みぞれ   〜重松 清〜

mizorebooks.jpg

思春期の悩みを抱える十代。
社会に出てはじめての挫折を味わう二十代。
仕事や家族の悩みも複雑になってくる三十代。
そして、生きる苦みを味わう四十代――。
人生折々の機微を描いた短編小説集。

あらゆる世代のお話をちりばめた珠玉の作品集です。

10代から40代まで
もちろんその年代を通り過ぎた重松さんだからこそかける作品集だとは思う。
そして同じく40代に入ってしまった自分にも
似たような経験として自分の身に置き換えても
十分に分かる話が多かった。
ただ夫婦ものは・・・
独り身の人間には分かりづらいところもあるんだけど、
結婚してなくても
なぜか少しは分かるような気もするから
そこは不思議だ。

重松さんの筆力のおかげだと思う。

どちらかといえば
30〜40代の話が多いので
共感できる部分が多く、
途中読むのが辛くなってしまうところも。
結局読んでいる自分にも跳ね返ってくる物語の奥の深さに
やるせなさが襲ってきたり・・・。

『息をするようにお話を書きたい』
という重松さんの言葉。
息をするようにお話を読みたい
そう感じられる作品集でした。

TBさせていただいたブログ
いつか どこかで

僕たちのミシシッピ・リバー   〜重松 清〜

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季節風シリーズの第2弾は『夏』

夏の物語なので
切なさや哀しさ、悲しさは無縁で
きっと爽やかな、涼やかな話ばかりだろう、と思ってたけど、
やはり重松さんは、そうはさせないみたいです。

どの話も
夏を舞台に
どこか哀しい、切ない、お話ばかりでした。
その中で母親の再婚に戸惑いを感じながら
でも、最後にはOKを出す女の子を主人公にした「ささのはさらさら」は
女の子の微妙な心の揺れが上手く描かれていて、
ただ哀しい、と言う話ではなくて良かったな。

やはり、泣きました。
「べっぴんさん」「タカシ丸」
この2編で号泣しそうになりました。
特に「べっぴんさん」は
昨年の同じ時期に祖母を亡くしているので
身に染みました。
この2作は続けて載っていたので
涙腺弛みまくりでした。
こういう物語の並びも上手いなぁ〜。
で、最後は爽やかに終わる『虹色メガネ』
上手すぎです。

あざといと言う人もいるだろう。
泣けといわんばかりの物語の並びに
嫌悪感を持つ人もいるかもしれない。
でも、重松さんの作品は
そういったものを超えて
我々に家族の本当の良さを教えてくれているような気がします。

これからも泣きますよ。
泣かせてください、重松さん。

TBさせていただいたブログ
待ち合わせは本屋さんで
はちみつ書房
かみさまの贈りもの〜読書日記〜

なぎさの媚薬4 ねえさんの浴衣   〜重松 清〜

nagisa4.jpg


渋谷の娼婦、なぎさと今夜出会うのは
義理の姉を見殺しにされ、故郷を離れた圭。
姉を自殺に追い込んだ『家』を憎み、
自分は決して家庭を持とうとしなかった。

姪の結婚式に出席するために故郷に帰ってきた圭。
居心地の悪さを感じながらも、亡くなった義姉の墓参りを済ませた圭は
東京に戻り、
兄の2番目の妻の死を知る。
そこで知らされた真相。

最初の兄の妻、自分がただ一人「ねえさん」と呼ぶ女性を
救うために、圭はなぎさと出会い、過去に戻り、
その「ねえさん」と結ばれることで
「ねえさん」の自殺を食い止める。

もちろん、これまでどおり、
なぎさと関係を持つ男の生活に変わりはない。
それでも自分が愛した女性を救うことができた。
それだけではなく、彼の心の中にも変化が起きる。

相変わらずのエロさ加減がサイコーです。
家族物で泣かせるか、と思いきや、
こういったエロも書く。
しかし、その根底に流れているのは
やはり人の愛。なんだな。
変幻自在の重松さんです。

今回は義姉との関係。
だんだん関係性も危うくなってきますね・・・。
さて、次は?
これまた楽しみです。

うちのパパが言うことには   〜重松 清〜

uchipapa.jpg


重松さんのエッセイ集としては2作目らしいです。

章立てにしてあるので
若干の統一感はあるけれど
色んな媒介に乗っていたものを一つにまとめたものなので
違和感はあります。

しかし、重松さんです。
どのエッセイも
それぞれ軽かったり重かったり
その都度まったく違う重松さんの姿が
見られます。

ただの作家ではなくて
ルポライターとしてもずいぶん活躍されていたので
読ませる文章の力強さは
他にはまねできないのではないでしょうか。

でも彼のエッセイも
下地にあるのは、やっぱり家族なんですよね。

ありがとう、ごめんね、そしてさようなら   〜重松 清〜

thankyou1.jpg


あるラジオ番組に寄せられた
家族への想いをこめた手紙。
それを重松さんが選び、ちょっとずつコメントをつけている。

家族への想い。
誰もが持っているものだけど、
人それぞれもちろん違う。

その想いが何だか切なくて、そして温かい。

家族一人ひとりに
想いを込めて
「ありがとう」と言いたくなりました。

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