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2008.06.16 (Mon)

愛しの座敷わらし   〜荻原 浩〜

itoshino.jpg


家族5人がそれぞれ別の方向を向いているような一家。
夫の転勤を気に、古い民家に移り住む。
そこでの出来事が家族をまた一つにしていく。
家族の再生物語。

なんといっても
座敷わらしがかわいらしい。
座敷わらしは住む家に幸福をもたらしてくれる。
ただしこの家族にとっての幸福は
お金や物ではなくて、
家族のまとまり、だった。
座敷わらしのおかげでばらばらになりそうだった家族が
また一つになる。
それ以上の幸福があるだろうか。

座敷わらしの哀しい言い伝え。
何ともいえず悲しかった。
その昔、そんなことがあったとは今の年になれば
分かってはいることだけれど
もし座敷わらしがその言い伝えのままの存在であれば本当に悲しい。

色んなことを考えさせる物語だった。

常識を疑い、固定観念を捨てろ

今作で一番効いた言葉。
常識だけに捉われずに、色んなことを考えながら
前を向いて歩いていこう。

最後の1行で
なんだか
救われた。
思わずニヤリでしたね。



20:20  |   荻原浩  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2008.05.04 (Sun)

母恋旅烏   〜荻原 浩〜

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旅芸人だった花菱清太郎は自分の劇団を作り独立するが、
その後廃業。廃業後は様々な仕事を興すものの全て失敗に終わる。
借金を抱えた清太郎は
元の劇団の団長に借金を申し込みに行くが
結局その息子の劇団の座員として
大衆演劇に復帰する。

この物語は
そんな清太郎だけの物語ではなく、
そんな清太郎を夫に持った、父に持った家族の物語である。

それぞれの視点で物語が進んで行くのだけれど、
それぞれの想いがしっかりと描かれている。
家を出る子どもたちもいるけれど
それでも最後はしっかりと清太郎の下で
舞台に立ってたりする。
蛙の子どもは蛙ということわざを地で行く物語だった。

ところどころにユーモアを交えながら
物語は進む。
最後は切ない終わりかただなぁ〜と思うんだけれど、
きっと元の鞘に収まるんじゃないかという気もする。

どのキャラもすごく生き生きと描かれている。
どんなに腐っていたりマイナス思考に突き動かされている子どもたちでも
その姿は生き生きとしているように思えた。

13:48  |   荻原浩  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008.03.17 (Mon)

神様からひと言   〜荻原 浩〜

gods.jpg


前の会社を上司とのトラブルで辞めてしまった涼平。
次の勤め先でもトラブルを起こし、『お客様相談室』へ。
商品のクレームから世間話まで
幅広いお客様の声と日々格闘して行くわけになるのだが、
その相談室の面々が一筋縄では行かないような人々・・・。

その中で涼平は何かを学び、一人の社会人として
成長して行く(多分・・・)

単なるサクセスストーリーではない、
どちらかといえば、
堕ちて行く転落系ストーリーに近い。
しかし、最後はスカッとする終わり方で
読んでて最後ににやりとさせられた。

長編なのに、
その長さをまったく気にすることなく
スラスラと読めてしまった。

荻原さんの描く登場人物たちが魅力的であるからかもしれない。
みんなの置かれている立場は非常に辛いものがあるんだけど、
それでも「生きている」っていう感じが伝わってくる。
一人だけ辛い終わり方を迎えてしまう人物もいるけれど、
そこが、切ないし、痛い。

それ以外は非常に面白く読めた作品だった。
20:32  |   荻原浩  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2007.11.07 (Wed)

さよなら、そしてこんにちは   〜荻原 浩〜

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荻原さんの新作。

世のため自分のため人のため家族のため、
一生懸命働いているのに、
報われないことってあるんだよね〜。
そんな悲哀が十二分に伝わる短編集。

荻原さんのユーモア溢れる作品は
読んでいて本当に心地よい。
特に今作では
同じ働く者の悲哀が面白いくらい伝わってくる。
そうそう、そうなんだよな、って。

報われなかったりもするけれど、
ガクっとくることも多いけど、
働くことって楽しいことばかりじゃない。
そんなことを明るいタッチで
描ききってます。
「長福寺のメリークリスマス」なんて特に秀逸です。
寺の住職が人目を忍んでクリスマスグッズを買いに出かける。
仏教とキリスト教の間で揺れ動く住職。
面白すぎ。

頑張れって思わず声をかけたくなる人々の日々。
愛おしいです。

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2007.10.29 (Mon)

誘拐ラプソディ   〜荻原 浩〜

yuukai.jpg


一気読みでした。
荻原さんはこういったユーモア溢れる小説の方が
いいなぁ〜と思うのは自分だけでしょうか?

借金を抱える伊達秀吉は勤め先の親方を殴って金と車を奪い逃走。
奪った金はすぐに底を尽き、
帰るに帰れない伊達は死のうと思いたつが・・・
いつの間にか車に乗り込んでいた家出少年を
誘拐し、身代金を奪おうと画策するが・・・
誘拐した少年はとんでもない家の子どもだった!!

なんというか
一応犯罪小説なので緊迫感が大切だとは思うんだけど、
なんだか、伊達や誘拐された少年伝助がほんわかしていて
妙な切迫感や緊迫感があまり感じられない。
もちろん伝助の家のものに見つかって、襲われそうになったり
香港系マフィアに襲われたり
緊迫するシーンはあるんだけれど
なぜか、最後にはにんまりしてしまうオチがあって
なかなか本から手を放せませんでした。

成長した伝助が
この伊達との3日間をどう思いながら
過ごして行くのか、
そちらの方にも興味があります。
後日譚なんかでないかな〜??

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21:15  |   荻原浩  |  TB(1)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2007.08.22 (Wed)

サニーサイドエッグ   〜荻原 浩〜

sunny.jpg


あの最上俊平が帰ってきた!
まさかかの作品がシリーズ化されるとは思ってなかった。
嬉しいです。
前作は切なすぎる最後で終わりましたが、
はて、今回は?

相変わらずペット探し専門のような探偵稼業の最上。
ハードボイルドな探偵に憧れるものの、
目下の仕事はいなくなったペット探し。
そんな最上のところにまたもや風変わりな秘書が・・・。

今度の秘書は16歳。
アメリカにいたちょっとスレた感じの女の子。
理由ありなのは前作の綾さん同様。
今回はどんな理由なのか・・・。

で、最上の仕事はいなくなったロシアンブルーの探索。
依頼人に淡い恋心を抱きながら
仕事に没頭しようとする最上の元へ更なる猫探しの依頼が・・・。
そしてその猫もロシアンブルー。
奇妙な偶然がやがて必然に変わり、
最後はジェットコースター級の物語へと展開。
スピード感溢れ・・・そうで、なかなか、そうは行かないのは
主人公が最上だからか!?

小説自体は前作同様動物虐待の話も絡めながら
解離性同一性障害も入り込み
一見複雑そうで、しかし読みやすく書かれている。
さすが荻原さんですね。
最上のダメダメさにも愛嬌が出てきました。

最後秘書さんは無事で今後も活躍してくれそう?

面白かったです。


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2007.04.10 (Tue)

千年樹   〜荻原 浩〜

sennenjyu.jpg


千年間生き続けた巨大なくすの木。
その萌芽から伐採されるまでの千年間で
くすの木が見続けてきた人間たちの物語。

全8話からなる連作短編集。
1篇の中に二つの時代の話が交互に入るのだけど、
その二つの時代の話が絶妙にリンクしあっている。
そして全ての話が時間軸がずれてはいるが、
しっかりリンクしあっていて、
千年樹をめぐる人々の話が綴られていく。

本当に切ない話のオンパレードでした。
特に過去の話は、現代に生きる我々には想像もできないような
辛く悲しい出来事ばかりで、
思わずページをめくる手を止めてしまったり。
だからといって現代の話で救われるのかというと、そうでもなく。

決して癒しの樹ではなく
時に人間に対して悪意を持った目で人間を見続けている、
そんな感覚を持たせる話でした。

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2007.02.22 (Thu)

オロロ畑でつかまえて   〜荻原 浩〜

08747373.gif


人口300人の牛穴村が村おこしのために大々的な宣伝をすることに。
そしてその牛穴村が選んだ広告会社は社員たったの4人、
今にもつぶれそうな、
名前だけは立派な『ユニバーサル広告社』だった!

「明日の記憶」に次いで読んだ荻原さんの2作品目でした。l
「明日の記憶」とはまったく違う内容に
度肝を抜かれました。
そしてこれがデビュー作。
この人はなんてすごい作家なんだ、と読んだときに思いました。
そして今でもそれは変わりません。

内容は・・・
一人奮闘する杉山の姿に涙・・・そして笑い。
でも一生懸命やってる割には
報われない、
でも、仕事しなくっちゃやっていけない。
でも社長も社員もアルバイトも、なんか自分勝手で、でも可笑しい。
登場人物もうまい具合に役割がきちんと割り振られてて
なかなかです。

お気に入りは猪熊さんですけど。

笑って泣けて、ホッとして。
第2弾「なかよし小鳩組」もGOODでしたね。
23:16  |   荻原浩  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑
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