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Author:す〜さん
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窓の魚   〜西 加奈子〜

blindfish.jpg


4人の男女。
それぞれが恋人同士、といってもいい関係。
1泊の温泉旅行。
その一晩の出来事をそれぞれの視点から眺める。

そこで分かるものは・・・

お互いが
一緒だと思いながら
実はお互いがそれぞれのことを分かっていない、
一緒にいながら
実は一人ぼっちだという事実。

何だか淋しい関係を見せ付けられたような、そんな気分。

そして彼らの物語の中に挟まれるある事件の話し。
一見繋がりのないような話だけれど、
実はそれぞれが微妙に絡んでいたりする。
その事件の顛末は明らかにされないのが
不満であるのと同時に不思議な余韻を醸し出し、
それでいて読む者が
勝手に解釈できる余裕というものを作り出している。

4人の行く末が何だか明るくないような、そんな気がする。

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こうふくあかの   〜西 加奈子〜

akano.jpg


2007年と2039年の物語が交差する不思議なお話。

2007年のお話は、
妻が自分の子ではない子を妊娠した男の話。
なんていうか、
妻に対する想いが自分勝手で、
外面はよく思われようとする男の身勝手さが
溢れていて、あまり共感できなくて
非常に読み進めるのがきつかった。
中盤以降、次第に追い詰められながらも
悩める姿に少しずつ、頑張れよ〜なんて思いながら読めたけど。
最後、子どもが産まれ、
その後、彼の取った行動、
それが2039年の話に繋がって行くわけだけど、
その辺は上手いなぁ〜と思った。

正直、
2039年のプロレスラーの話しとどう絡んで行くのか、
と思ったけれど、
しっかり2007年と2039年が繋がっていて
思わず「お〜〜〜っ」と感嘆してしまいましたよ。

今作も
前作「こうふくみどりの」に引き続き
猪木が実に良い働きをしている。
何故に猪木にここまで入れ込んでいるんだ!西さん。

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こうふくみどりの   〜西 加奈子〜

kouhukumidori.jpg


14歳の緑。
多分自分と同世代。
なんとなく彼女の生きている時間が
自分と重なって、何故か懐かしく感じられる作品でした。

小気味良い関西弁と
魅力的な人物たち。
西さんの魅力が十二分に発揮された作品です。

その緑の物語に
棟田さんという女性の独白が絡んでくる。
最初この女性(最初は名前さえ分からない)が
物語にどう絡んでいくのか、と思って読んでいったけど、
途中からようやくの関係が分かる。
棟田さんの心情が切なくて・・・。

しかし、あえてこの物語の途中に挿入すべきものなのか?という
疑問も湧いたことは事実ですが・・・。

棟田さんの独白だけではなく、
緑の母や、祖母の独白も入り込み、
ちょっと複雑な展開にもなったりしますが、
この辺もう少し違う書き方でも良かったのかな?とは思った。
しかしそうは思うんだけど、
母親や祖母の気持ちや歴史(?)もよく分かって
それはそれでいいのかな、とも思えてしまうから不思議だ。

ちょっぴり切なくて、
でもすごく温かいお話でした。

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ミッキーかしまし   〜西 加奈子〜

mickeykashi.jpg


西さん初のエッセイ集。
なんか、想像してたよりかなり豪快な人・・
といっても酒の話においてですが・・・。

凄く可笑しい人なんだな、とこのエッセイを読んで分かった。
可笑しいけど、かわいい。
そんな感じ。
素の西さんが垣間見られて、いい感じです。
何気に大阪弁が心地よかったりするんですよね。

自分を飾ろうとせず
ありのままの姿を見せている
西さんにさらに好印象でした。

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しずく   〜西 加奈子〜

shizuku.jpg


そうか、あなたがいたんだ。疲れた心を優しく照らす、
ちっぽけでいとしい奇跡。

そうか、あなたがいたんだ。
迷っても、つまずいても、泣きそうでも。
人生って、そう悪くない

幼馴染。
老婦人と小説家。
30女と7歳の女の子。
自分を偽る女と嘘をつく女。
猫2匹。
娘と母。

女同士のたわいのない、日常と非日常を綴った短編集。
彼女の作品はこれですべて読んだけど、
この短編集が一番よかったかも。
どの話も女同士を描いているので
微妙に心理状態やら何やらは分かりかねるけれど、
そこに流れる雰囲気は決して悪くはなかった。
どこにでもある話のようで
でも男同士だとさらっと流してしまいそうな、
近くて遠い、遠くて近い、そんな二人の関係を
見事に描ききっていると思う。

30女とその恋人の娘との交流を描く『木蓮』
最後の本音を語るあたりからものすごく面白くなった。
娘と母親の交流を描く『シャワーキャップ』
娘の最後の涙の意味は良く分かる。

この2作が特に好きです。

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あおい   〜西 加奈子〜

aoi.jpg


デビュー作。

「あおい」ってタイトルはどこから来たのか?
ってずっと想いつつ読み進めて
やっと最後に分かりました。
なるほどね。

彼女の描く女性はなんとなく同じ匂いがする。
すごくけだるそうで
人生は半分投げてるようで
でも実は根っこのところですごく悩んでて
一生懸命生きてていて、
だからかな、
嫌いになれない、そんな女性。

まぁ、現実にいたら・・・な気分にもなるだろうけど。

もう一作『サムのこと』も収録。
こちらも一見、イマドキの若者のしかもどちらかというと
「もっとしゃきっとせ〜」って言いたくなるタイプの登場人物が多数。
しかし、やはり西加奈子さんの描く人物には
陰があり、傷を持ち、
でも一生懸命そのときを生きている感があって
決して悪くはないんだけど、
そろそろ違うキャラものも読んでみたいと思う今日この頃です。

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通天閣   〜西 加奈子〜

tuutenkaku.jpg


夢を失いつつ町工場で働く中年男と
恋人に見捨てられそうになりながらスナックで働く若い女。
この二人の日常が交互に描かれています。
そしてこの二人が接することはありません。最後までは。
最後にほんのちょっとだけ接することになるけれど
お互いがお互いのことを認識することはほとんどなく
そして物語は終わります。

主人公同士が結局会話らしい会話も交わさないまま
話が終わってしまう、
そんな小説です。
二人とも毎日にうんざりしながら
それでいてその日常から抜け出そうとせず
いつものように日々を繰り返す。

お互い、恋愛に関して心に傷を持つ。
誰かをしっかりと愛したこと、
誰かにしっかりと愛されたことを認識できないまま
今日までやってきた。

しかし、
そんな日常に起こったある事件。
その事件を通して、自分が誰かを愛していたこと
そして誰かを愛していたことに気づく。
最後の最後にようやく希望の光が見えてきた、
そんな話でした。

悲しいときには通天閣に上るのがいいのだろうか?
上ってみたいもんだ。

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さくら    〜西 加奈子〜

sakura.jpg



う〜〜ん散漫、ってのが感想です。
感動できる!なんて書評があったり、周りの人間も
これ感動するよ!なんて言い合っていましたが、
正直「どこが?」って聞き返したくなるような作品でした。
いや、面白くないというわけではなくて、
ただ感動の押し売り的な売り出し方が気に入らないだけかもしれません。

結局何が言いたいのか?
これに尽きると思う。
スーパースター的な兄。
美貌の妹。
父母にしてもかっこよかったり、美人だったり、
そんな中、僕だけが普通。
でもそれでいいんだ、って・・・そうか?
普通、そんな兄がいたら憧れもあるけど、嫉妬もすごいと思うよ。
うちには兄がいるから良く分かるし、
もしうちのアニキがかっこよすぎるくらいかっこよくて
自分が普通すぎるくらい普通だったら
ある時期、絶対に嫉妬する。間違いなく。
西さん、男の子の心理分かってないのかな?

そして何故に兄を自殺に追い込ませたのか。
それまでの幸せを絵に書いたような家庭と
兄が事故に遭ってからの不幸を絵に書いたような家庭。
その対比で何を描こうとしていたのか?
そこが見えなかったです。

何があっても家族はひとつなんだよ、って言いたかったのか、
それなら兄を死なせなくても事故に遭わせるだけで十分だったような気が・・。

ゲイだとかレズだとか、この物語を進める上で
必要だったのかな、と思う。

長いだけで散漫。
もう少し、エピソードを絞って深く描いた方が
もっとよかったんじゃないかな、と思います。

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