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戸村飯店青春100連発   〜瀬尾 まいこ〜

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「切っても切れないくされ縁?」
まさしくその通り。
血の繋がった兄弟は、どうあったって縁は切れないものなのです。

見た目も性格もまったく正反対の
ヘイスケとコウスケの戸村兄弟。
年も一つしか違わないから、何かと比べられ、お互い気分よくない。
自分は男兄弟の真ん中なので弟の気持ちも兄の気持ちも
両方ともなんとなく分かる。

ヘイスケは高校卒業後大阪の家を出て東京へ。
とにかく閉鎖的というか地元意識が強くて
何にでも首を突っ込んでくる周囲の人間から離れたくて東京へ。
コウスケはそんな何を見ながら、将来は自分が実家の戸村飯店を
継がなくては、と思う。
あ〜、分かる。二人の気持ち。だから両方応援したくなる。
結局、行き着くべきところに行き着いたという感があってほっとした。

紹介には爆笑コメディーなんて書いてるけど、
コメディーというより兄弟の成長物語、だな。
いい感じで二人がたった1年で大きく成長してる。

なんだかんだ言いながらやっぱり兄弟で
お互いのことをどこかしらで意識し合ってる。
そんな兄弟の姿が微笑ましかったです。

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温室デイズ   〜瀬尾 まいこ〜

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苛めていたものが苛められる側に。
イジメを見ていたものが苛められる側に。
イジメを止めようとしたものが苛められる側に。

今、おそらくはどの学校にもあるだろういじめの問題。
瀬尾さんが正面切って挑んだこの作品は
いじめの根の深さを如実に物語っている。
明日は自分が苛められるかもしれない。
イジメの場から逃げ出し、別の場所に行くもの、
イジメと闘い、日々苦しむもの、
イジメを受ける前にぱしりとして自分の活路を見出すもの。
人それぞれ。
しかし、みんな戦っている。
どの方法が正しいか分からない。
時には逃げることも大事。
何より、命に関わることにもなるのだから。
その場から逃げることは責められないし、
責めることはできない。

瀬尾さんの小説の中では一番重いテーマである。
現役の教師が紡ぐ物語だからこそ、
見えてくるものもある。

もう一度しっかり考えなければならない。
何故こうなってしまったのか。
こうなる前にできること。
それを探していかなければならない。
人の心は移ろいやすいもので
なかなか答えは出そうにないけれど、
でもそれを考えていかなければならないんだよな。

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ありがとう、さようなら   〜瀬尾 まいこ〜

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瀬尾さんのエッセイ集第2弾です。
前回が広く瀬尾さんのことを書いたエッセイだったのに対し、
今作はメインは学校のことであり、生徒のことである。
一つ気になったのは
イニシャルにしてはあるけど、
生徒のことをここまで書いていいのだろうか?ということで・・・。
おそらくは生徒には許可を得ているんだとは思うけど、
特定しようと思えば
地元の人たちには分かっちゃうわけで・・・。
そこがちと気になりました。

ただ、エッセイの中の生徒たちは非常に生き生きとしていています。
中学生ってこんなものなのか、と
高校教師としては
なんとなく羨ましかったり、
いや高校だっていいぞ、なんて強がってみたり。
瀬尾さんの姿に自分を重ねてみたり・・・。

そう、前のエッセイの感想にも書いたけど、
教師の仕事って本当に大変で、
残業手当なんかもなく、
毎日12時間労働は当たり前で、
夏休みもやっぱり夏季休暇の3日しかなくて、
周りの人が言うように
楽な仕事ではないんだけど、
それでもやめられない仕事・・・なんですよね。
瀬尾さんのエッセイを読むと
彼女がいかに生徒を愛しているか、
教師という仕事を好きでいるか、というのが伝わってきます。

こんな風に毎日頑張れたらいいなぁ〜。

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見えない誰かと   〜瀬尾 まいこ〜

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作家であるのと同時に教員でもある瀬尾さんのエッセイ。
学校のこと、
生徒のこと、
仕事のこと、
家族のこと、
友だちのこと、
それぞれ短いエピソードの中で
キラッと光ってます。

同じ仕事をしているので
教師としての瀬尾さんの思いはかなり理解できるし共感できる。
本当に大変だけど、
本当に楽しい。
毎日同じことは起こらない。
毎日が変化に富んだ生活で、
こちらの思いが通じなかったり、
変に誤解されちゃったり。
うまく行くことばかりじゃなくて
それこそ辞めたいと思ったこともある。
瀬尾さんのエッセイを読んでいると
すごく昔の自分を見ているようで、懐かしくもある。

いろんな人との縁があって
今の自分があるんだ、ということを
改めて知らしめてくれる作品でした。

小説もいいけど、
こんなエッセイもいいよね。

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卵の緒   〜瀬尾 まいこ〜

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『卵の緒』と『7's blood』の2作品を収録。

自分のことに置き換えると
確かに『僕は捨て子なの?』って聞くと
『お前は橋の下から拾ってきた』と言われてたな。
でも、本当に捨て子だったらそんなことは言えず、
ただうろたえてしまうだろう
そんなところから始まる『卵の緒』は妙に心に残る作品だった。

でも、もちろん捨て子ではないんだけど、
そこには深い事情があって、
育生という男の子はある女性に育てられることになるんだけど、
この女性、すなわち育生の母がすごく素敵な女性にも
無謀な女性にも思えてしまう。
女性でこんな感情になる人ってどれだけいるんだろうか?

でも愛情いっぱいに育てられたことは良く分かる文章でした。
血のつながりではなくて、
もっと深いところで愛されている、愛しているということは伝わってきた。

もう一作品では、今度は血のつながりはあるけれど、
本妻と愛人の子として育った二人の姉弟の話。
微妙な関係ではあるけれど、
こちらは血のつながりの確かさを描いていて、
対照的な作品だったけれど、
これもなかなか良い作品でした。

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ひなたでゆるり

図書館の神様   〜瀬尾 まいこ〜

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高校時代までバレーボールに熱中していた「私」は
練習試合での敗戦に、その敗戦の原因である選手に対して
手厳しい言葉を投げかける。
そして翌日、その少女は自殺してしまう。
遺書もなく原因も分からなかったけれど、
周りは「私」のせいだという態度を取り始める。
その態度に耐えられなくなった「私」はバレーを辞め
大学も故郷から遠く離れた大学に入学し、そして講師として
ある高校で働き始める。

心に傷を持つ「私」=清がたった一人の文芸部員「垣内」くんと
過ごすことで
心の傷を癒し、新しい生活へ飛び出していくまでを描いた秀作です。

「垣内」くん、いいね〜。
「垣内」くんとのやり取りを通して
文学へ目覚め、高校教師として新たな一歩を踏み出していく。
その経過がとても清清しくて
読んでてほんわかした気持ちになります。
不倫相手との恋愛も描かれますが、
相手の最後の言葉「困るんだよな。」が二人の関係の脆弱さを
見せ付けたようで、ここだけが暗く沈みがちになりますが、
全体的に良く出来た、本当に教壇に立っている瀬尾さんらしい
作品です。

この物語の最後のほうに
「教師は特別な存在でもないし友達でもなんでもない。
 ただの通過点に過ぎないんだなって。
 それでいいんだと思う。
 それがいいんだと思う。」と出てきます。
まさにその通りだと思う。
勘違いしないで、今目の前にいる生徒たちのことを
しっかり見ておこう、と改めて思わせてくれる言葉でした。

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"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!

幸福な食卓    〜瀬尾 まいこ〜

shokutaku.jpg


「父さんをやめる」そう宣言した父親もすごいけど
それを受け入れる家族ももっとすごい。
父親は自殺未遂を起こし、
母親は父親が自殺するまで追い詰められていたことに
気づかなかったことで、自分を責め、
家を出ることで心を平静に保っている。
兄は大学に行かず、農業をし、自分の好きなように生きている感がある。
妹は梅雨の時期にやってくる体調不良(父親の自殺未遂が原因)と闘い、
家族一見ばらばらに見えて、
でも実は根っこの部分ではしっかり繋がっている、
お互いのことを思いやっている、
家族ってそうなんだよな、って語りかけるような物語。

ただ・・・
最後がね、
そういう終わり方って、あまり好きではないので
そこは減点ポイントです。
そういう結末を持ってくることで
家族とのつながりを強調したかったのか、
それとも別の意図があったのか、
分からないけど、
一番「お手軽」な終わり方だったと思う。
それで感動は・・・しないだろうな、とも思うけど。

文章自体は瀬尾さんらしく読みやすいものでした。
でも、読後感は・・・やはり本当のハッピーエンドで終わってほしかったなぁ〜。

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優しい音楽   〜瀬尾 まいこ〜

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どの登場人物も優しいよね。
タイトルどおりだ。

『優しい音楽』のタケル。
『タイムラグ』の深雪。
『がらくた効果』の章太郎とはな子。

自分のためではなく、なぜか人のために頑張ってしまうその姿は
ほほえましくもあり、
痛くもあり。
でも、やっぱり自分のためだけでなく、
他の人のために何かをすることが
自分にも最後には返ってくるんだ、ってことを
改めて思わせてくれるものでした。

まぁ、浮気相手の父親に
浮気相手の妻のことを認めてもらおうとする
深雪の行動なんてありえないとは思うけどね。

読み終わってほわっとする3篇の物語でした。

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