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吸血鬼在中につき   〜佐脇 元〜

vampire.jpg


事故で死亡したはずの佐脇元(作者と同じ名前)の体に
女の吸血鬼が入り込む。
一子と名付けられたその吸血鬼は
精神が暴走してしまった弟を殺すために元に乗り移る。

吸血鬼が乗り移った元の体は切られようが、殴られようが、
銃弾を受けようが、何も感じない。
そしてロシアマフィアや暴力団や警察やら売春組織やらが
入り乱れて事件の真相に迫っていく。

途中までがちょっとだらだらしてて
後半端折りすぎたかな、って感が否めません。
色んなものを織り込みすぎて
意識が散らばってしまったって感じです。

が、面白くないということはない。
吸血鬼のイメージも普段抱いているイメージとはかけ離れていて新鮮。
こんな吸血鬼のイメージもいいのかも。

ホラーとも違う、本格ミステリーとも違う
どのジャンルにも当てはまらない新しい感覚の物語でした。

混合男児   〜三枝 玄樹〜

kongou.jpg


24歳の俺の母親がガンで死んだ。
その母親は最後に俺の父親の可能性のある4人の男の名前を残してくれた。
そして俺は俺の父親を探しに出かけた。

父親の可能性のある男たちが見事なほどにばらばら。
公務員で実直そうな男、清水。
無職で家賃も滞納し生活に窮している男、三木。
大会社の社長として華々しく活躍する男、原。
借金にまみれ暴力団に脅されながら生活する男、堀内。
この辺のバランスがいいな、と思う。
あまりにも似通っていると物語としては面白みに欠けるだろうし。

俺の本当の父親はいったい誰なのか?

結末はこれでよかったのか?と思えるんだけど、
まぁ、これはこれでよし、かな。
必ずしも真実が関係する全員に幸せを与えてくれるわけではないし
だからこういう終わり方でも良かったのかもしれない。
ただ、やっぱりちょっとだけ心残りって言うか、
もやもやとした感じも残るんだけど。
それでも俺が下した結論は共感も持てる。
そして4人の父親の可能性のある男たちの想いも
なんとなく分かる。
もし、自分の元に急にあなたの息子かもしれませんって誰かが訪ねてきたら
まぁ、ここまではできなだろうな、とは思うけど、
同じような立場だったら確かにこの4人の男たちが感じた想いを
自分も持つかも。

そんな風に読んでいくと、なぜだか心が暖かくなる。

父親と息子、大きく言えば家族の話。

息子視点ではなく、それぞれの男の視点で読むとさらに面白くなる。
2時間弱で一気読み。
それだけ面白い作品でした。

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ほんだらけ

アンクレット・タワー   〜真田 コジマ〜

anklet.jpg


ポプラ社小説大賞 優秀賞受賞

誕生日にアンクレットを買ってもらえなかった少女は
死に場所を求め、鉄塔に登る。

そのニュースを見ている3組の男女。
イケメン彼氏に振り回されるショップ店員 ナツキ、5
年前に別れた彼女との再会に戸惑うサラリーマン マサシ、
愛する夫に浮気をさせようと仕組んでしまうイラストレーター マイコ。

それぞれが自分の境遇に悩み、苦しみ、
前に進めだせないでいた。
そこにニュースで見た少女の事件。
その子が助かれば
前に進める・・・賭けに出た3人は・・。

それぞれの話しが交互に描かれているので
ブレイクしながら読みすすめられました。

最後はとりあえずハッピーエンドで終わる。
そして3組の男女と少女の生き先が
明るい光に満ちていくような終わり方で
案外良い物語だった。

ポプラ社小説大賞の3作品の中では
一番面白かったかな。

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ナナメモ

バレンタイン     〜柴田 元幸〜

valentine.jpg


翻訳家 柴田元幸の初小説集。
といっても柴田元幸という人がどんな人なのかも知らずに購入。

なんだろう?
不思議な小説集だった。
小説なのか、エッセイなのか?
でもエッセイにしては現実味がないし、
小説にしてはこれまた現実なのか虚構なのか
分からない不思議な世界が展開されている。

ここにリアルさはほとんどないといってもいい。
でももしかしたらそういうのもあるんじゃないの?って
思わせてしまう、
錯覚させてしまう
不思議な物語の連続に
こちらの感覚も麻痺していく、そんな感じでした。

本当に不思議の世界に迷い込んだような
でも、何故だか落ち着いていられる、
そんな妙なでも心地よい読後感を味わえた。

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ナナメモ

デブになってしまった男の話    〜鈴木 剛介〜

debu.jpg


モテモテのイケメンから、100キロを超えるデブになってしまった大介。
初めて味わうコンプレックスの重みに悩みながら
「愛」とは何か、「優しさ」とは何か
「本当の自分らしさ」とは何かを考えていく。

っていうか、
自分が100キロを超える体重になってしまったことを
何故気付かない。
たった一月で30キロをける増量が出来るのか?
しかも病院で???
すごく現実味がないような気がします。
作者の実体験を元にって銘打ってあるけど、
普通一月で30キロ増量できないでしょ?
相撲部屋でもないし、
もちろん相撲部屋なんかは栄養管理とか気をつけているから
健康的に太るんだろうけど。
入院中に30キロ増量はないだろう。
病院何してんだよ!!って感じですよね。

コンプレックスを抱えることで始めて見えてきた真実の愛。
コンプレックスを抱えることで
恋愛に対してようやく人間らしい感情をもつようになった(らしい)けど
コンプレックスを抱えている人は
そう簡単に自分を肯定できないものだと思う。
その辺をあっさり克服してしまう主人公のキャラクターの薄さに
ちょっと幻滅です。
もう少しその辺をしっかり描いて欲しかったなぁ〜。

そういう細かいところは気になるけど、
後、主人公のキャラも好きじゃないけど、
一気に読み終わらせるだけの力は感じられて
別の作品も読んでみたいなぁ、と感じました。

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ほんだらけ
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青いうた     〜斉藤 ひろし〜

aoiuta.jpg


1999年に公開された映画「のど自慢」から生まれた青春ストーリー。

中学を卒業した4人の男女がそれぞれの夢を追い、
時に挫折を繰り返しながら
本当に大事なものは何か、を見つけ出していくストーリーです。
まぁ、お決まりの内容です。
ただ、久々に「王道」とも言える作品を
読んだなぁ〜という感じですね。

舞台が青森なだけに
登場人物のほとんどが津軽弁・・。
読みながら、何て言ってんだろう?と想像しながら
読まないといけなかったのが、正直辛かった。
まぁ、地方を舞台にして
成り上がるために東京へ出て行くというストーリーだから
しょうがないかもしれないけれど。

色々あるんだけど、
最後はお決まりのハッピーエンドって言うのが、
いただけないなぁ〜という感じではありましたが・・・。

津軽弁以外は割とすんなり読み進めていくことできた。
さすがに作者は脚本家なので
その辺の話しの展開の上手さがあるなぁ、と。

映画化もされて公開中のようですが、
のど自慢の部分は
映画「のど自慢」の主人公、赤城麗子(室井滋)も出演しているということで
それだけでも見てみたい・・・と思う自分がいたりするのである・・・。


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