
ポプラ社小説大賞の優秀賞。
デパートの屋上のペットショップで働く常葉。
日々生産性のない自分の生活に焦りながら
それでも毎日を生きている。
大晦日も仕事。
寝正月を決めていると実家から電話がきて、知らない男から
年賀状が届いているのを知る。
その後、その男が大晦日にアルマジロを買って行った男で
幼い頃、同じ学校に通っていた男だと分かる。
その男が常葉に言った
『あなたが僕に言ってくれた言葉が、僕の心に染み入るように入ってきた。』
という言葉に戸惑いを隠せない常葉だったが・・・。
そして出張でタイへ出かけた常葉は
ある光景を目にし
幼い頃の悲しい記憶と向き合い、その過去を受け容れ、
みっともない自分を引き受けて生きていこう、と考え始める。
そして、あの同級生に言った言葉が思い出される。
『ずっと見つめていると、心がだんだん近づいてきて、
とっても温かい気持ちになるねん。』
結局この物語は
常葉の心の変容を描いた物語だと思う。
辛い過去に目を向けないようにして
日々を怠惰に過ごし、
ありのままの自分を受け入れることもなかった常葉が
タイの自然に出会い、
自分の過去を見つめ直して、自分らしく生きていこうと
決意するまでのお話し。
そこに、読者が何を見出すか分からないけれど、
一人の女性の心の成長を描いた秀作だと思う。
個人的にはペットショップで働く姿を描いた第1部の方が
面白かったけど・・・。
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