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修学旅行は終わらない   〜村崎 友〜

shuugakuryokou.jpg

修学旅行
それは甘酸っぱい記憶と共にほろ苦さも感じられる
学生時代最大の学校行事。
その修学旅行の最後の晩に繰り広げられる教師VS生徒のバトル。
恋の駆け引き。恋の成就。

いやぁ〜、
本当に修学旅行を思い出してしまいました。
何よりも旅館での夜、しかも就寝時間を過ぎた後の
先生の見回りを気にしながらの
おしゃべりや他の部屋への出入りや
そんなものを思い出しました。
確かにこんな修学旅行の夜だったよなぁ〜、と。

本作に登場する生徒の決死の行動も今となれば
何であんなことを・・・と思うんだけど、
修学旅行は特別で
本当に何かの魔法にかかったかのように
いつもとは違う行動をとったものです。

それは今も昔も変わらないんだなぁ〜、と。

今は逆の立場になって見回ったりする身になってしまったけれど
どこかで
もっと楽しめよ、なんて思いつつ
でも、仕事増やすなよ、って思いながらの見回りも
まぁ、ある意味楽しかったりもするんですよね。

話しの中に出てくる幽霊騒動も
裏が分かれば何だそれ!?って微笑ましくもなります。

修学旅行の最後の晩のほんの数時間を
数名の生徒と教師の視点から描かれているこの作品。
なかなか楽しめる作品でした。


オール ミッション2   〜山田 悠介〜

all2.jpg

『オール』の第2弾。

何でも屋家業の健太郎。
その何でも屋に新たな従業員が。
一人は金髪ピアスの若者、駒田。
もう一人は美人の篠原。
新しく出来た後輩駒田に健太郎は不満たらたら。
そして事務として採用された篠原には淡い恋心。
さてどうなることやら。

前5編からなる短編集。

何でも屋だから何でもやるのは当たり前。
しかしなかなか変わった依頼が多くて困ってしまう。
タイムカプセルを探せ、だの
退屈な毎日をどうにかしろ、だの、
野球のコーチをしろ、だの
恋の告白の手伝いをしろ、だの
カジノに入りびたりの女の子を連れ戻せ、だの

ただ前作よりインパクトに欠ける依頼ばかりで
正直あんまり面白くなかった。
それにその解決も何となく鼻白むものだったり
見事なご都合主義だったり。
まさに運だったり。
ちょっとなぁ〜、という感じではまり込めなかった。
前作は面白く感じたんだけど。
今作はちょっと・・・という感じだった。
健太郎と新しい従業員が目立つだけで
社長の花田や大熊などの前作からの登場人物が
あまり活かされていないのが残念でした。




吉野北高校図書委員会   〜山本 渚〜

yoshinokitakou.jpg

まじめな進学校の、まじめな図書委員会にだって青春はある――
まっすぐには進めなかった、もどかしい、あのころの日々。
高校生たちの悩み多き青春を、瑞々しく描き出す。

甘酸っぱ〜〜〜い。

気の合う男友達・大地が彼女を作った。
それが何だか苦しい。
好きなわけではないのに、何でこんなに苦しいんだろう?
そんなかずらを好きな藤枝。
色んな想いが複雑に絡み合う吉野北高校図書委員会。

高校生のみずみずしさが十分に描かれている作品でした。
高校生の複雑な心境を上手く描いているなぁ、と思った。
高知という地方を舞台にしているので
方言も何だか心地よかったです。

図書委員会って小学生の頃にしたっきり。
図書室には良く通っていたけど、
こんな感じの委員会ではなかったなぁ〜。

何だか高校生の頃の放課後を思い出す、そんな作品でした。


小美代姐さん合縁奇縁   〜群 ようこ〜

komiyo2.jpg

『小美代姐さん花乱万丈』の続編。
続編というか、小美代姐さんの最初の結婚から晩年までの
前作では語られなかった彼女の生活を細かに描いている。

色んな縁あって今の自分がある。
それは良縁であっても悪縁であっても
結局は自分のためになる。
そんな考え方の小美代姐さんは
どんななに辛い日々でも笑顔でだれかれに愚痴ることもなく
日々を過ごしている。

後ろを振り返らずに、前向きに歩いている
何事においても
それは大事なことだ、と小美代姉さんの生き様を見て感じた。

小さなことにこだわらず、ブツブツ不平を言わず
前向きに・・・。

そうすれば人生きっと楽しいことが多くなるんだろうな。

かもめ幼稚園   〜黒野 伸一〜

kamomeyouchien.jpg

かもめ幼稚園で働き始めたちかこは、やる気のな〜い毎日。
うるさいママさんグループや生意気な子供たち、日和見主義の園長、
マイペースな先輩…とうんざり。
それなのに彼氏は全然話を聞いてくれず、鬱憤はたまる一方。
もうやめちゃおっかな、と思いはじめたころ、
ちょっと素敵なパパに惹かれてしまって…!?

新米幼稚園教諭のお話です。
読んでて他人事ではないなぁ〜、なんて。
相手は幼稚園生ではないけれど・・・。
まぁ、その保護者という点では同じかな。

ちかこは幼稚園教諭になって以来、
毎日毎日園児とその保護者(特に母親)に振り回されている。
良かれと思って進言すれば
園長室に怒鳴りこまれ、園長から叱責を受け、凹む毎日。
夢も希望もなくすような先輩からの助言・・・。
本当にちかこの苦悩が手に取るようにわかります。
良かれと思ってやったことが全て悪い方へ向かっていく。
あがけばあがくほどより泥沼にはまっていく。
挙句に恋人に振られ、新しくいいな、と思った人には結婚相手が。
そんなちかこの苦しさや切なさが上手く描かれている。

しかし、失意のどん底にいるときに
手を差し伸べてくれたのは・・・
やっぱり園児たちだった。

最後はほろっと来ます。
なんだかんだ言いながら
幼稚園の先生をやる気になったところで話は終わるけれど、
多分これからもちかこの受難は続くはず。
何となく続きが期待できそうな終わり方だったんだけど・・・。

しかし、保護者のなんと言うか自分勝手な論理にやはり当事者のちかこでなくても
腹が立つ。
でも、口答えは出来ないんだよね。
ストレスが溜まるのは実生活でも同じ。
これはフィクションではない。
きっとこんなことで悩んでいる人たちはたくさんいるだろうな。
しかしこの物語を読んでいくと
確かにきつかったり辛かったりするんだけど、
いや、まだ頑張ろう!ってな気持ちにもなりました。



人くい鬼モーリス   〜松尾 由美〜

moris.jpg

ミステリーYA!シリーズ第23作目。

ひと夏のアルバイトはとある別荘での小学生の家庭教師。
そこで彼女が見たものは。

これは面白かったです。
ミステリーYAシリーズとしては
これまで読んだ中ではかなり上位に食い込みそうな勢いです。

主人公は村尾信乃。
高校生の彼女は小学生の芽里沙の家庭教師として
彼女が滞在する別荘へ赴く。
そこで彼女が見たものは、鬼(モーリス)だった。
しかし、この鬼、『人食い』ではなく『人くい』
人を食うのではなく、その残留思念なんかをくう鬼だった。
自ら人を殺めることはしない穏やかな(?)鬼。
芽里沙はそんな鬼を別荘の納屋にかくまっていた。

そこに芽里沙の母を訪ねてきたライターが死亡する事件が。
そしてその死体が忽然と消えてしまう。
モーリスの仕業か!?
訝しむ信乃と芽里沙。
そこに第2、第3の殺人が・・・。
これも人を殺めないというモーリスの仕業なのか、
それとも別の人間の仕業なのか・・・。

最後に謎は解けるけれど、
ちょっと肩透かしかな、という印象を受ける。
前半から中盤にかけてものすごい勢いで読ませる展開だっただけに
最後失速したかな、と。
あまりにも取ってつけたようなオチにちょっとがっかりしたのも事実ですが、
ただ、子どもから大人になる、その変化の大きさ、悲しみは
よく表れていたと思う。


きみが見つける物語 友情編   〜アンソロジー〜

kimiyuujyo.jpg

ちょっとしたきっかけでぐっと近づいたり、もう顔も見たくないってほど嫌いになったり。
ともだち、親友、それともライバル?旬の作家が集結、
それぞれが描いた、かけがえのない友情の形とは?

坂木司
佐藤多佳子
重松清
朱川湊人
よしもとばなな

5編中3編は既読でした。
どの作品も友情をテーマにした作品でしたが
特に朱川さんの『いっぺんさん』が良かった。
いっぺんだけ願いが叶うのなら
何を願うか。
その願いが何ともいじらしかった。

このシリーズも4作目。
次はいよいよ恋愛編かな?

気をつけ、礼   〜重松 清〜

kiwotuke.jpg

重松さんの新作は
教師と生徒の関係を描いた短編集。

教師って完璧ではない。
聖人君子でもないし、神様でもない。
この作品に出てくる教師はどれもいい意味でも悪い意味でも
一人の人間である。
何も言わずに手を差し伸べる教師もいれば
もう少しどうにかならないものか・・・と思う教師もいる。
教師も千差万別。
どの教師に当たるかでその生徒の1年がかかってるといっても過言じゃない。
読んでて苦しくなる場面も。

でも、振り返ったときに
生徒から見るとどれも悪い思い出として残っていない。
もちろん現実ではそういうことばかりではないけれど、
自分の経験を振り返ってみても
生徒のときはすごく嫌いだった先生でも
今思い出すとなぜか許してしまえたりしている。

月日が経つと、いろんな意味で寛容になれるんだな。

重松さんらしく
泣ける作品もある。
腹の立つ作品もある。
でもどれもいい作品である。

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